里子ちゃんとの思い出

元気で好奇心旺盛な里子ちゃんが施設に帰って2週間がたった。
時々よっちゃんの事を思い出して食事中に話が盛り上がる。

最初に、「おもちゃを放り投げたりすることもあります。」と言われてたが、それはなかったねと家内と話してたら、次女が、最初の日におもちゃを投げつけてたよと教えてくれた。私のカチューシャも壊されたと三女も言う。

おねしょ、鼻血の始末、添い寝、ウンチおしっこの始末。湿疹の薬。着替え、食事の世話。

ただ、普通に何気なく生活していることも、家内をはじめ、娘達が世話をしてくれたお陰だと今、あらためて思う。

早朝からハイテンションで、お姉ちゃんを起こしてくれた。よく食べよくおしゃべりし、よく笑った。家内も最後は感情的になって叱ったりと、本当に賑やかな1週間だった。

お正月を過ぎた辺りから、あといくつ寝たらお別れだとわかっていたのか、最後の日には私達より切り替えが早く、今日で施設に戻ると告げると、自分の荷物の整理をしだす。

あわてて帰らなくてもいいんだから…

もうちょっと駄々っ子になってくれてもいいでしょう…
とこちらの寂しさも察することなく…

いや察してたからこそそんな風だったのか。
おもちゃの入った紙袋の中に、横田のシャチハタネームをいっぱい押して遊んだ紙切れを見つけて、ゴミ箱に捨てようとすると、これは持って帰ると大事そうに言う。

何と可愛い…配慮。

たった1週間だったけれど沢山の経験をしたように思う。

「楽しかった?」

「うん!」

定番のように三女が尋ねる。

施設と横田家とどっちがいい?

誰が一番好き?

よっちゃん返事に困るだろう……

それでも聞きたい言葉。
一番好きなのはちいちゃんだと長女の名を言う(次女、三女はがっかり)
横田家の全員の名前もちゃんと覚えていないのに…

三女は歳が近いから一番よく遊んでくれた。泣かされたりもした。わくわくランドから戻って体調を崩し嘔吐がしばらく続いた。次女との会話で「もう遊んであげないもんね」と里子ちゃん。
そうか僕らは里子ちゃんに遊んでもらっていたんだ。

今頃どうしてるかな~
横田家の事を忘れたのかな~。

と、そこに施設から手紙が来た。

「園に帰ってからは、横田様のご家族の皆様とご飯を食べたことや、大きな滑り台で遊んだことなど、楽しかった思い出を身振り手振りを交えて話をしてくれました。」
このような家族の温かい雰囲気を感じながら、貴重な体験をさせて頂いた事に、職員一同厚く御礼申し上げます。
との手紙と、よっちゃんが書いた横田家の食事中の絵が同封されていました。

里親をさせて頂き本当に良かった。